2020年1月ドイツ・ルクセンブルグ旅行記 番外編
2020年、世界は新型コロナウィルスにより、大混乱に陥った。
世界中の主要都市はロックダウンし、大勢の方が亡くなり、今なお多くの人々が苦しめられている。
国から国への移動は制限され、もはや以前のように自由に渡航することは出来なくなってしまった。
ルクセンブルグの友人は、3月25日から約10日間の日本旅行を計画していた。
1月のメールでは、毎日日本へ行くまでの日を指折り数えていた。
日本の写メを送ると「楽しみすぎてもう待てない!」という返事が来た。
2月に入るとコロナウィルスが徐々に猛威を奮いはじめた。
それでもまだなんとかなるだろう、という楽観的な気持ちでいた。
友人に、日本に来たらマスクを用意するから公共の場では毎日使ってね。とメールした。
2月末に、1ヵ月後日本に来る頃には桜が見れるよ、とメールした。
3月に入るとコロナウィルスはゆっくりと蔓延し始めて、いよいよ雲行きが怪しくなってきた。
この頃は日本では徐々に感染が拡大し、特に2月のダイヤモンドプリンセス号の対応では世界から非難が集中した。
友人は家族や周囲から日本行きを中止するように説得され、それでも前向きに楽しみにしていた。
3月7日、オレは友人にメールした。
「日本では徐々にコロナウィルスの感染が広がっている。もしかしたら日本に来ることは家族を危険に晒すかもしれない。
また、多くのお店は営業時間の短縮または閉店してるので楽しめないかもしれない。
残念だけど、今回の日本旅行は延期することをオススメするよ。」
友人から返信が来た。
「今、本当に悩んでいる。
片方の手は、日本行きを本当に楽しみにしている。でも、もう片方の手は今回はやめた方がいいと言っている。
あと1週間悩むよ。」
3月14日
友人から「キャンセルした」とだけメールがあった。
(flug storniertとはドイツ語で「キャンセルされたフライト」という意味)
奇しくも東京では観測史上もっとも早い桜の開花宣言があった。
落胆する友人をなんとか元気付けてあげられないものか、と思い、日本からサプライズボックスを送ることにした。
中には友人が大好きな日本のお菓子、豆餅や前回日本に来たときに散々探しまわって見つけられなかった「めぞん一刻」のマンガ本、隙間にお菓子や色々な会社名入りのタオルを詰め込んだ。
3月15日
郵便局から航空便で発送した。
通常は4〜5日で到着するけど、今回は1週間以上掛かるかも、と言われた。
しかし、1週間経っても2週間経ってもたどり着かない。
問い合わせ番号からネットで毎日確認したが、日本の国際交換局から飛行機に乗ったあと、全く動きがない。
郵便局で確認したら、おそらく中継地点の中東あたりに行った模様。
そこからヨーロッパへ行く便が大幅に減っており、荷物が止まっているとのこと。
(今回は着かないかな……)
そんなことも考え始めた4月中旬、いきなりルクセンブルグに着いた。
国際郵便局、税関とすんなり通過して18日の朝10時、無事に友人宅に到着した。
びっくりした友人から感謝のメールが届いた。
「you are amazing ‼︎ you make me cry.」
「今回、日本旅行をキャンセルしたのは残念だったけど少しでも元気になってもらいたくて送ったよ。」
「I have big hope to see you next time.」
とりあえず喜んでもらえてよかった。
昨日、ルクセンブルグから荷物が届いた。
お返しのサプライズボックスだった。
5月27日に発送して6月2日に到着した。
日本からは1ヵ月かかったのに、ルクセンブルグからは1週間?
最後に友人からこんなメールがあった。
「私たちは、コロナ後の新しい世界の準備もしなきゃね。」
今後、以前のような世界中の人々と出会うような旅はもうできないかもしれない。
でも、いつかまた世界各地にいる大切な友人に会いに行き、ビールを飲み、笑い合える日が来ることを信じて日々過ごしていきたいと思う。
そして、すでに予約済みの7月のバリ島行きのチケット、今回はキャンセルかなぁ………(T_T)